レポート

2020.03.05

介護業界で事業を売却/買収するメリット・デメリットとは?M&A後に成功するための見るべきポイントも解説!

ここ10年で日本は「超高齢化社会」と言われていますが、今後もこの流れが変わることはないでしょう。

しかし高齢者が増えていく今後の日本で、業界としての成長が見込めるのが介護業界でもあります。この影響を受けて事業拡大や新規参入のために介護事業のM&Aを検討する企業も増えてきています。今回は介護業界でM&Aが増えている背景と、M&A後に成功するためのポイントを見ていきましょう。

 

介護業界のM&A事情

介護業界は成長産業ではありますが、M&A事情はどうなっているのでしょうか。

増加する介護業界のM&A

介護業界のM&Aは近年、増加傾向にあります。事業を手放したい売り手が一定数存在する一方で、事業を譲り受けたい買い手も増え、マッチングの可能性が高まっているからです。すでに介護事業を手掛けている企業だけでなく、ほかの業界からのM&Aも多いのが特徴です。

介護事業を売却する理由

介護業界のM&Aにおける売り手は、経営難のため事業を手放すことを検討しているケースが多いようです。

介護業界への新規参入が目立ってきている近年、介護事業は競争が激化しています。利用者数によって売り上げが大きく変わるという事情がある中、顧客の奪い合いが発生して十分に利益が出せず、経営が厳しくなってしまうことがあります。

また、激務と言われる介護業界では人材が定着しにくく、人手不足のために安定的な経営を続けられないこともあります。このような背景のもと、介護事業の売却を検討する売り手が増えているのです。

介護事業を買収する理由

一方、介護事業を買収したいと考える企業もあります。これはなぜでしょうか。

例えば、すでに介護業界で何かしらの事業を行っている企業が、拠点の増加や新しいエリアへの進出のために買収を検討することがあります。業界大手の企業が、利用者の利便性向上などを目指して小規模な介護事業を買収するようなケースも増えています。これらは事業拡大のためのM&Aと言えます。

また、他業種による買収も少なくありません。今後も需要の増加が見込める介護事業にスムーズに参入するために、M&Aという手段をとるのです。医療・医薬品系の業界や警備会社など、介護と親和性の高いサービスを提供する企業を中心に、介護事業の買収が増えています。様々な分野の事業が、成長途上の介護業界に参入することでシナジー効果を発揮できるのです。

 

介護事業M&Aのメリット・デメリット

介護事業におけるM&Aは、売り手と買い手にそれぞれどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。介護業界の特徴から見る両者にとってのポイントを確認してみましょう。

売り手にとってのメリット・デメリット

まずは売り手にとってのメリットです。

売り手は、M&Aにより安定的な経営をすることができるようになる可能性があります。同業の大手企業の傘下に入ることで、人材の確保や資金力の向上などにつながるからです。また、廃業という結論を出さずに済むため、利用者や地域社会への悪影響を防ぐことができます。

一方で、事業を売却するデメリットはそれほど多くありません。ただし、経営主体が変わることで従業員の雇用条件や働く環境などに変化が生じる可能性もあるため、フォローが必要でしょう。また、希望よりも低い価格でしか売却できないというケースもあるので、専門家によるサポートを受け、不当な価格での売却を防ぎましょう。

買い手にとってのメリット・デメリット

では、買い手にとってはどのようなメリットがあるのでしょうか。

既存の介護事業を買収することで、利用者をそのまま引き継ぎながら拠点を増やすことができます。買い手は効率的に事業を拡大することができます。

また、介護事業は老人ホームやデイサービス、訪問介護など業態が多岐にわたり、それぞれの業態によって蓄積しているノウハウが異なります。そのためすでに介護事業を手掛けている企業にとっても、新サービスへの進出が容易になるというメリットがあります。

介護に新規参入する場合は許認可等の手続きが必要ですが、M&Aであれば不要になることもあり、ゼロから事業を始めるよりも手間が削減できるというのもポイントです。

一方で、元々働いていた従業員のモチベーション低下につながりやすいことが懸念と言えます。経験豊富な人材の離職を食い止められるよう、現場への配慮が必要です。また、買収後に隠れていた問題が発覚する場合もあるため、契約前にしっかり調査を行わなければいけません。

 

介護事業M&Aで注意するべきポイントは?

では、介護事業のM&Aを行うにあたって特に注意すべきポイントを見ていきましょう。

行政手続きの確認

介護業を営むにあたっては許認可等が必要ですが、事業の形態によってその種類は異なります。買収する企業がどのような許認可を取得しているのかを前もって調べ、買収後の事業計画に支障がないか確認しましょう。

また、株式譲渡によりM&Aを行う場合は基本的に許認可等をそのまま利用することができますが、事業譲渡によりM&Aを行う場合は許認可等の引継ぎをしなければいけません。あらかじめ行政に相談したり引継ぎスケジュールの確認をしたりして、対応できるようにしておきましょう。

利用状況や設備についての確認

M&Aを成功させるためには、買収予定の企業の経営状況等をきちんと把握しておくことが重要です。施設の稼働率や未払いの利用者の有無などをチェックし、運営状況に大きな問題がないことを確認しておくと安心です。

また、建物等の物理的な状況にも注意が必要です。設備が老朽化している場合、買収してから改修などをしなければいけないため費用が掛かります。売り手側も、設備の耐用年数や建物の耐震対策などを説明できるように準備しておくとよいでしょう。

 

介護業界のM&Aは今後ますます注目が高まる!

介護業界のM&Aは今後ますます需要の拡大が見込めるということもあり、注目を集めています。介護事業の買い手は同業ばかりでなく、他業種からの新規参入を目指す企業も増えています。早くから検討を始めることで、良い案件と出会える可能性も高まるでしょう。介護業界ならではの注意点もあるので、まずはノウハウを持つ専門家に相談してみてください。