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出版業界の不況は続くがコンテンツ産業は死なない!企業が進化するためM&Aが有効な理由

2019年11月21日

国内の出版業界を取り巻く環境はとても厳しいものとなっています。活字離れや、インターネット上で普及しているWEBコンテンツに消費者が移行していることが影響し、紙の出版をメイン事業としてきた多くの会社の経営状況が圧迫されています。

経済産業省の「工業統計表」を参考に、業界の出荷額(製造品出荷額ベース)の推移を見てみると1997年の約9兆円をピークに2014年には約6兆円まで減少し、中でも中小出版社の経営状況は一段と厳しいものとなっています。

帝国データバンクの調査によれば、出版会社の倒産件数は2009年の56件がピークで、以降減少に転じています。しかし、倒産件数が減少した理由は「モノトリアム法」と呼ばれる中小企業円滑法の施行によるためであり、根本的な解決にはなっていないとされています。

出版を取り巻く環境が激変している

昨今の出版社の倒産事例として、2017年は実用書やビジネス書の「三五館」、2018年に釣り関連の雑誌や書籍を出版していた「海悠出版」、スポーツ関連書籍を発行していた「スキージャーナル」などが挙げられます。

出版社の倒産には、会社の未来の担い手となる後継者がいないという問題も影響しています。全国の中小企業の経営者が頭を抱えている事業承継は、出版業界でも同様に深刻な問題です。今回はそんな出版業界の現状と今後の将来性、現状の問題の解決策について解説していきます。

 

出版とデジタルは相容れないものなのか

ここ近年、出版業界では市場縮小、大手雑誌の廃刊、倒産といったネガテイブな話題がよく上りますが、いくつかの原因が複合的に影響しています。

デジタル化が浸透したことによる本離れ

インターネットの普及によって多くの情報が簡単に入手できるようになりました。いまでは、本からのみしか入手できない情報はないと言っていいほど、インターネット上にはありとあらゆるコンテンツが掲載されています。

こうしたデジタル化に伴い消費者ニーズが多様化したことによって、読書離れにつながったと言われています。また最近では、2017年に漫画やアニメを著作権者に無断で掲載する海賊版サイトの「漫画村」の問題もありました。このような海賊版がインターネットに掲載されてしまうことで、消費者はますますインターネット上でマンガや本などのコンテンツを入手することに対して抵抗がなくなっていることも一つの原因といえます。

 

年々上昇する運送費

出版不況と連動して全国の書店も廃業や倒産が続いています。特に、物流コストの上昇が重くのしかかる地方の書店は一段と厳しい環境に置かれています。特にドライバーの人手不足は深刻な問題で、それに伴う運送費の上昇はネット通販のトップ企業であるAmazonも値上げに応じざるを得ないほど大きな影響力を持っています。大企業ですら影響を受けるくらいですから、中小企業が多くを占める出版業界や書店の経営悪化は当然といえるでしょう。

 

出版不況を切り抜けるために進むべき道

厳しい現状が続く出版業界ですが、しかし、コンテンツ産業自体はこれから成長を期待できる分野としてみられている数少ない産業でもあります。

 

出版事業のデジタルシフト

出版不況の業界において、成長市場なのが電子書籍です。インプレス総合研究所の「電子書籍ビジネス調査報告書2019」によると、スマートフォンの普及などにより、2018年の電子書籍市場規模は2,826億円と推計、前年比と比較すれば585億円が増加した成長業界です。約1,400億規模の市場と成長している電子書籍市場は、今後も成長が見込めます。スマートフォンやタブレット、または電子書籍リーダーを利用しどこでも書籍が閲覧できるため、コミックを中心に電子書籍事業は急成長を続けています。現在はAppleのiBooks StoreやAmazonのKindle、楽天のKoboが有名です。

デジタルシフトするには、出版物ベースの既存のビジネスモデルから脱却する必要があります。デジタルシフトを展開するとメディア収入における広告の比率が高くなるので、従来よりも営業と編集の連携が求められ、それに伴う社内体制の整理が必要になってきます。

 

国内コンテンツの海外輸出に期待

書籍、漫画、小説といった電子書籍に対応するコンテンツの作成やマーケティングは成長分野です。世界的に見てもコンテンツ産業は、新興国の所得の増加やデジタル化による流通の加速によって今後も成長が期待できる分野です。

しかし、実際には国内コンテンツを海外に輸出するためのプラットフォームの確立やノウハウの獲得を既存の経営資源だけで対応することはなかなか難しいものがあります。こうした体制構築も踏まえて、社内体制を強化していくことを求められるでしょう。

 

M&Aが出版業界の現状を打開策になる

そこで、「デジタルシフト」と「コンテンツ輸出」に迅速に取り組み、新しいビジネスモデルを社内に構築することができる画期的な手段が「M&A」です。実際にM&Aによってどのようなメリットがあるのでしょうか。

 

M&Aをすることのメリット

譲渡企業にとっては、

①デジタルシフトやコンテンツ輸出に向けた事業や人材をすぐに獲得できる

②海外市場やインターネット広告等、新たな収入源を確保できる

③より資本の大きい会社のグループになることで競争力をつけられる

といったようなメリットが考えられます。

 

一方譲受企業にとっては、

①制作・編集能力を獲得できる

②人材拡充によって読者のニーズを反映させやすい

③キャラクターなどのコンテンツを活用する権利を得られる

などのメリットが考えられます。

 

出版業界のM&A事例

出版業界におけるM&Aを行う企業としては、TSUTAYAや蔦屋書店を展開するCCC(カルティア・コンビニエンス・クラブ)が有名です。

CCC(カルティア・コンビニエンス・クラブ)は2017年にアニメなどエンタメ分野に強い徳間書店、女性向け雑誌「Ray」や「mina」で有名な主婦の友社、2018年にしん文堂の買収を実施しています。

買収した企業は、いずれも特色のある出版社で、CCC(カルティア・コンビニエンス・クラブ)は良質なコンテンツを獲得し、競争他者との差別化を図ることができたといわれています。

Amazon、Netflix、Huluなどが人気な理由は、おもしろいコンテンツや独自のコンテンツが豊富にあるからです。これらのコンテンツ企業は、デジタルに対応し世界に発信していく力を身につけており、さらに子どもから大人まで楽しめるコンテンツを幅広く提供しています。そこでしか見られないオリジナルコンテンツがあることも人気の理由です。

しかし、オリジナルとはいえ、やはりテレビ局など制作ノウハウを持つ会社とM&Aなどで業務提携をしてきたからこそ、クオリティの高いコンテンツを作り続けられていると考えられます。人を惹きつけるコンテンツを生み出すためには、制作のノウハウや人材を活かす組織体制が非常に重要です。CCC(カルティア・コンビニエンス・クラブ)も、獲得した出版社の制作・編集機能を活かして、今後さらに幅広いコンテンツラインナップを期待されています。

 

不況の出版業界で生き残るために

出版業界は依然として厳しい状況が続いています。そのような状況下において会社が存続し続けるために、信頼のできるパートナー企業と提携することで成長戦略を描くことも視野に入れてみてはいかがでしょうか。

デジタルシフトとコンテンツ輸出が生き残るカギになる一方で、異業種や小売サイドから見た場合にも出版業界とのM&Aは魅力的な戦略です。制作・編集から販売までの流れがワンストップで行われることで、より読者のニーズを反映させた、質の高いコンテンツを制作・販売することができます。制作に必要なデザイン会社や、運送会社との連携も良い相乗効果を期待できます。

Amazonや楽天などの大手企業は豊富な経営資源を投資し市場を支配しようとしていますが、これに対抗するためには、M&Aを前向きに検討し提携企業と成長していく必要があるでしょう。
 

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