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創業90年の仕立屋がM&Aで新たな歩み。 “強みの打ち出し方”が成約を左右

2025年11月12日

創業90年の老舗仕立屋を受け継ぎ、新規で登山グッズブランドの立ち上げなどにも挑戦している「ノースフィールド株式会社」は、さらなる事業の成長と経営基盤の強化を目指し、「株式会社ベルビューコンサルティング」へ株式譲渡を実施しました。今回、ノースフィールドの創業者であり、M&A後も副社長として実務を担当する北原信太郎様に、M&Aを決断された背景やご成約までの歩みについて伺いました。


 

譲渡企業
社名 ノースフィールド株式会社
業種 アパレル・ファッション
拠点 東京都
譲渡理由 資本獲得による事業拡大

 


 

譲受企業
社名 株式会社ベルビューコンサルティング
業種 不動産、M&A関連業務など
拠点 東京都
譲受理由 海外展開、新規事業参入

 

 プロフィール 

ノースフィールド株式会社
代表取締役 (現:取締役副社長) 北原信太郎

大学卒業後、財閥系商社のグループ会社に入社し、IT関連事業の営業を担当。アパレル系の商社へ転職し、その後お父様が経営する株式会社北原洋服店に入社。「テーラーキタハラ」の屋号を受け継ぎ、2006年にノースフィールドを設立。

 

創業90年。老舗テーラーのDNAを受け継ぎ新しい挑戦

老舗仕立屋「テーラーキタハラ」のクラフトマンシップを受け継ぐノースフィールドは、祖業であるテーラー事業に加え、その技術を応用したブライダル事業(タキシード製作など)や、ベトナム事業(登山アイテム製造・販売事業など)を多角的に展開しています。創業の背景について、北原様はこう語ります。

「北原洋服店は1935年創業の仕立屋で、長年にわたり多くのお客様から厚い信頼を得てきました。しかし、業界全体が職人依存の労働集約型で、仕組みの多くがアナログなままでした。私がサラリーマン時代に培ったITの知識を活かせば、新しい風を吹き込めるのではないか。そう考えたことが、ノースフィールド設立のきっかけです。」

父の代から続く伝統を尊重しながらも、自身の理想を追求するためには別の会社形態が必要だと判断。一方で、創業を機に「テーラーキタハラ」の屋号を正式に受け継ぎ、歴史と革新の両立を目指す新たな歩みをスタートさせました。

国内テーラー事業の転換期。業界縮小を見据えベトナム進出を決断

国内のテーラー業界は、高度経済成長期に職人産業として大いに栄えました。しかし、バブル期を経てスーツの量販化が進むと、市場は次第に縮小。さらに、北原様がノースフィールドを立ち上げた2006年当時には、縫製士の高齢化が進み、国内での仕立て継続が難しくなる未来が見え始めていました。

「このままでは日本でスーツを仕立てること自体が難しくなる」——そんな危機感から、北原様は早い段階で海外展開を視野に入れます。

「スーツを仕立てる拠点として、韓国・中国・台湾・タイなど複数の国を検討しました。その中で最もふさわしいと感じたのがベトナムです。親日的な国民性に加え、当時は経済的に発展途上で、人件費を抑えやすい点が大きな魅力でした。さらに、すでにユニクロが進出しており、同社のサポートによって服飾産業の基盤が整いつつあったことも決め手になりました。」

スーツの中でも高級仕立ては特に高度な技術を要します。北原様は日本から熟練職人を派遣し、ベトナムの縫製士へ教育・指導を実施。さらに、そのスーツ製作の工程で生まれる残布を有効活用し、小物の製造へと事業を派生させていきました。

コロナ禍で売上急減。登山グッズブランドの新設で再起を図る

テーラー事業・ブライダル事業・ベトナム事業の3本柱で堅実に実績を積み上げていた同社ですが、2020年のコロナ禍でテーラー事業とブライダル事業が大きな打撃を受け、売上が急減。長年培ってきた事業構造の見直しを迫られるなか、北原様はベトナム事業を軸に「再起」を図る決断を下しました。

「逆境をチャンスに変えるため、ベトナム事業を拡大しようと立ち上げたのが登山アイテムブランド『ピークハント(Peak Hunt)』です。登山の分野を選んだのは、私自身が登山を趣味としており、その経験を商品開発に活かせると考えたからです。

後発ブランドとして市場で生き残るためには、他社との差別化が不可欠です。そこで、『価格優位性』と『高品質・高性能』の両立に徹底的にこだわり、ベトナムでの生産体制を整えました。」

製品開発では、北原様自身が実際に山へ足を運んで使用感を検証。改良を重ね、現在はバックパック、サコッシュ、ポーチなどの製品を展開しています。Amazonを中心に販売を行い、ユーザーからは「コストパフォーマンスに優れた本格派ブランド」として高い評価を得るまでになりました。

持続的な経営を実現するために、M&Aを選択肢として意識するようになった

コロナ禍が明け、「ピークハント」の売上が伸び始めた頃、北原様の胸中にM&Aという新たな決断が芽生えました。逆境を乗り越え、ようやく光が見え始めたタイミングで、なぜ譲渡を考えたのでしょうか。

「理由は3つあります。まず1つ目は、“持続的な経営”を実現するためです。コロナ禍の危機を脱したとはいえ、まだ安定経営といえる状況ではありませんでした。会社を絶対に潰さないために、そして取引先をはじめとするステークホルダーに迷惑をかけないために、M&Aという選択肢を真剣に意識するようになりました。

2つ目は、身近な経営者仲間や商社時代の恩人がM&Aを通じて会社の譲渡に成功していたことです。実際に成功事例を見聞きすることで、M&Aが自分にも“現実的な選択肢”として感じられるようになりました。

3つ目は、M&A成約時の手数料を補助する制度(東京都中小企業振興公社のM&Aマッチング支援)の存在を知ったことです。この制度を活用すれば、リスクを抑えながらスムーズにM&Aを進められると判断しました。

この段階でバトンズを通じて譲渡先を探そうと決めていたのですが、偶然にも担当してくださったコンサルタントの宮原さんが、ノースフィールドのお客様だったんです。ご自身の結婚式で着るスーツを当社でオーダーいただいていたというご縁があり、信頼関係が自然に生まれました。」

別の強みをもった経営者とマッチング。新たな知見が加わることの期待感

案件を公開してからわずか約4か月。ノースフィールドは、ベルビューコンサルティングとのM&Aを成約しました。北原様は、この短期間での成約を実現できた最大の要因として、「自社の強みを的確に打ち出したこと」を挙げます。

「案件を公開する際、テーラー事業やブライダル事業を中心にPRする選択肢もありました。しかし、私は“ベトナムに自社工場を持っていること”こそが最大の強みだと考えたんです。その意見に宮原さんも賛同してくれました。結果として、海外事業を展開している企業を探していたベルビューコンサルティングの志村様の目に留まり、M&Aの成約につながりました。」

志村様に対しては、第一印象で“自分とはタイプが違う”と感じました。私は『0から1をつくる』ことが得意で、営業や企画を好むタイプです。一方の志村様は、大手や外資系企業で長年、経理・財務の分野を歩まれてきた経験をお持ちで、『1を10に伸ばしていく』ことを得意とするタイプだと感じました。

これまでになかった志村様の知見が加われば、会社の成長スピードは確実に上がるだろうと確信しました。コロナ禍を経て、“経営者は孤独だな”と感じることも多かったですが、志村様と出会ってからは、久しぶりに仕事へのワクワク感を思い出しました。」

衰退産業でも、切り口次第で見え方が変わる。譲渡時のPRポイントの重要性

M&A成約後、ノースフィールドは創業者の北原様が副社長に、そしてベルビューコンサルティング代表の志村様が新代表に就任。今後は、単体での収益向上とグループ全体でのシナジー創出を目指して歩みを進めていきます。ポジションは変わっても、北原様がノースフィールドの実務で中心的な役割を担う姿勢に変わりはありません。

「当然ながら、最終的な意思決定は志村様が行います。その決定に全力で応えるのが私の責務だと思っています。一方で、これまで19年間で培ってきた経験や知見が役立つ場面もあるはずです。気づいたことがあれば遠慮せず意見を出し、より良い方向に導いていけたらと思います。」

“人の縁”に恵まれ、わずか4か月でM&Aを成約させた北原様。その経験を踏まえ、これからM&Aに取り組まれる経営者へのアドバイスを伺いました。

「譲渡を考えられている方へお伝えしたいのは、“自社の強み・PRすべき部分をよく考えること”です。当社の場合、『ベトナムに自社工場がある』という点を強みに設定したことで今回のご縁が生まれ、成約まで進みました。

とくに衰退産業といわれる業界では、視点の切り口次第で見え方が大きく変わります。自分では価値がないと思っている経営資源も、角度を変えれば魅力的な強みになることがあります。専門家の方とも相談をしながら、PRすべきポイントを考えることが重要ではないかと思います。」

ベトナムと日本をつなぐ架け橋として、ノースフィールドのさらなる発展と両国での活躍を、バトンズ一同、心より応援しております。

成約をサポートしたバトンズ 宮原弘樹のコメント

ノースフィールド様は、私が結婚式の際にオーダースーツを依頼していたという偶然のご縁がありました。譲渡のお話を伺う際には、北原さんが現在の状況を包み隠さずにお話しくださったことで、その後のやり取りもスムーズに進めることができたと感じています。

 

私は90年の歴史を持つ老舗テーラーの伝統を残したいという思いで支援に携わりましたが、当時はスーツ・フォーマル市場が軒並み厳しくなっている現状がありました。そこで、スーツの文脈ではなく海外展開可能な登山グッズ事業に焦点を当ててマッチングに臨むことにしました。

 

一方で、買い手の志村様は海外工場の所有をひとつの軸として探しており、今回のマッチングが実現しました。その後の交渉もスムーズに進み、事業上のマッチングと経営者同士の相乗効果という両面において、良いご縁であったと実感しています。

 

個人的にも、お世話になった会社のM&A支援に携わることができ、大変嬉しく思っています。今後のさらなるご発展を心よりお祈り申し上げます。

 

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