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M&Aプロフェッショナルアワード(地域貢献部門)受賞 /株式会社事業承継通信社

2025年06月23日

株式会社バトンズが開催する「M&A Professional Award 2025」は、バトンズが提携する全国約2,000社のM&Aアドバイザーから特にご活躍された方を選出し、その功績を称える日本最大級の表彰式です。今回のインタビューは、「地域貢献部門」を受賞された事業承継通信社より、代表取締役の若村雄介様にお話を伺っています。

地域貢献部門‥地域の経済や伝統の維持・発展に貢献した成約に贈られる賞。

<企業概要>

株式会社事業承継通信社

小規模から大型のM&A案件まで、あらゆる企業に最適なM&A支援を提供。経営者の想いに圧倒的に寄り添うことをモットーに、少人数精鋭で展開。

HP:https://shoukeinews.jp/

重視すべきは「幸せなM&A、幸せな事業承継」の実現

── 企業概要について教えてください。

当社は、年商1000万〜数十億円規模まで、業種問わずさまざまなM&A案件をサポートしています。ご依頼の背景も様々で、後継者不在の典型的な事業承継案件や、上場企業のカーブアウト案件、経営継続が厳しい再生案件など、企業の状況に関わらず幅広いケースに対応しています。

── 貴社がM&A支援に取り組むにあたって大切にしていることは何ですか?

私たちがM&A支援において最も重視しているのは、「幸せなM&A、幸せな事業承継」の実現です。これは、売り手様、買い手様、従業員様、取引先様など、関わる全ての方々が幸せになることを目指すものです。単なる売り買いではなく、良いお見合いや結婚のような良い縁を結ぶことを目指しています。

 

北海道の事業承継支援で、地域貢献部門を受賞

── 今回、地域貢献部門のご受賞となりました。対象となるご成約案件について教えてください。

北海道苫小牧市に本社を置く、惣菜・弁当・給食事業「甚べい」の事業承継になります。創業50年を迎える老舗のお弁当屋さんで、経営者が70代を迎えて後継者不在という状況でした。市民の食生活や地域行事を支えてきた弁当チェーンとして地域に根差しており、その事業継続は地域にとって社会的意義を持っていました。

今回の事業承継は、約50名の地元シニア女性の雇用維持、地域取引業者様との取引継続にも繋がった事例です。これは、中小零細企業の事業承継の成功事例として、大きな可能性を示せたと思います。

── 本案件のサポートに至った経緯についてお聞かせください。

本件は、M&A仲介事業を行う同業他社からのご紹介でサポートに入らせていただきました。もともと相談を受けていたM&A仲介会社様の手数料体系では、そもそも規模感が合わず、売り手様が懸念された経緯があって、弊社を紹介いただいたという流れです。

── 本案件を進める上でこだわったこと、重視されたポイントはありますか?

地方かつ後継者不在の事業承継案件は、まさに弊社設立の理念というかミッションに合致するケースで、まず「お手伝いしたい」「救いたい」という強い気持ちから、すぐに苫小牧まで会いに行きました。会社の歴史、社長の人生や価値観などをしっかり聴かせていただきました。また地域に深く根差した会社であることもわかり「地域の方々のために、どうすれば事業を残せるか」という視点でM&A支援に関わりました。

こだわったポイントは、売り手オーナー様、会社、地域にとって最適な事業承継となるよう、当事者意識を持って臨むことです。こだわったというよりは、支援する中で自然に「自分がオーナーだったら‥」という気持ちで臨んでいたように思います。

 

破談になったお相手に再提案。「この会社を超える相手はいなかった」

── 交渉過程において特に苦労された点についてお聞かせいただけますか?

苦労したのは、やはりお相手探しです。甚べい様の事業規模は、個人が承継するには規模的にハードルが高く、また大手企業が買収するには小さい規模感だったため、買収候補となり得る企業探しが難航しました。

そんな中でオファーを出してくれた企業のひとつが、札幌市に本社を置く株式会社PLUS2(プラスツー)でした。飲食業で成長中のPLUS2様は、代表のお人柄、期待感も含めて買い手候補として申し分なく基本合意まで進みましたが、いざ調査段階に入ったところで、詳細はここでは言えないのですが、断念せざるを得ない事情が出てきて破談となりました。

売り手オーナー様も落胆はしていましたが、「こういうのは縁だからじっくり探していこう」と言ってくださり、お相手探しを再スタート。しかしその後は適切な買い手候補がなかなか見つからず、時間が経過していく中で、売り手オーナー様が体調を崩されてしまいました。そこで少しご不安にもなった売り手オーナー様から「金額条件は柔軟でいいので早く相手を探してほしい」と相談を受けました。

改めて色々考えたのですが、これまで動いてきて、私の中ではPLUS2様を超える相手はいないと感じていました。そこでPLUS2様に再検討を提案したところ、幸運にも、同社が順調に更に事業成長を遂げていて懸念材料が一部解消されることがわかりました。

私は売り手オーナー様に「あなたに引き継いてほしいと」という想いを直接伝えましょうと提案しました。そこで両オーナーの再会が実現しました。また、甚べい様の50周年記念パーティーにPLUS2社長である土谷様をお誘いしたところ、そのスタッフ達の活気と温かみ、歴史を実感されたことで、引き継ぐ決意を固めて下さったように見えました。結果、基本合意までいって破談になったお相手と、再検討、株式譲渡契約が締結された稀有な事例となりました。

── 買い手企業の選定理由、ポイントは何だったのでしょうか?

PLUS2様は、当初から気持ちの良いコミュニケーション、飲食業での実績、健全な財務、エネルギッシュな姿勢と、申し分のない企業様でした。決定打となったのは、単なる経済的視点に留まらず、甚べい様の「歴史と文化をしっかり引き継いでいく」という気持ちの面、意思を感じさせて下さった点です。

正直なところ、「数字でしか見ていない」印象を受けた買い手候補者も多くいましたが、PLUS2様は「理(ロジック)」だけでなく「情(感情)」も併せ持つ、バランスの取れた企業様でした。過去の成功・失敗経験から、「会社の力だけでなく、お人柄を含めて引継ぎ先を選びたい」という私の考えに合致し、売り手オーナー様にお繋ぎいたしました。あ、そもそもバトンズさんからの紹介で感謝しています。

 

M&Aが有効かつ社会的意義が高い選択肢であることを再認識

── この案件に携わってのご感想、得られた学びなどがあれば教えてください。

本件は、弊社が重視する「売り手、買い手、地域の三方が幸せになる」M&Aを実現できた事例でした。甚べい様の事業継続により、地域の食文化と生活基盤が維持され、約50名の地元シニア女性の雇用や地域取引業者様との関係も継続されています。誰も不幸にならず関係者全員がメリットを享受できた点で、理想的な地域貢献型のM&Aであったと自信を持って申し上げられます。

また、今回の事例を通じて、後継者がいない地方の中小零細企業にとって、M&Aがいかに有効かつ意義深い選択肢であるかを再認識いたしました。帳簿上の資産性や経営体制に課題があったとしても、地域に深く根差し、愛され続ける事業には計り知れない価値があります。

M&Aは単なる企業の売買に留まらず、地域の文化や生活、働く人々の雇用と生活を守、り、未来へ繋ぐ社会的意義を強く有しています。M&Aアドバイザーという仕事はその実現のために重要なポジションであるため、今後も周囲と協力しながらひとつひとつの案件に真摯に向き合っていきたいと思います。

── 今回の地域貢献部門でのご受賞を受けて、一言コメントをお願いいたします。

地域貢献部門での受賞、大変光栄に思います。弊社が「達成感」と「貢献感」を強く感じていたこの案件が、バトンズ様の審査で認められたことは、大変嬉しく思いました。この賞をいただいた身として、ますます襟を正し、一つでも多くの「幸せなM&A」の事例を増やしていく責務があると感じています。

 

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