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医師のキャリア、地方クリニックのあとつぎに。 地方医療を救う第三者承継という選択(2)

2019年01月29日

前回は、地方クリニックが減少している要因を解説しました。診療を医局の派遣医師に頼っていた結果、彼らが医局に戻ってしまったとたん診療科を閉鎖せざるを得なくなり経営困難になっているクリニックや、開業医が高齢で後継者不在のクリニックが地方では相次いでいます。地域によっては無医地区が生じるようになっているという事実も見逃せません。

ところが、閉鎖を余儀なくされているこうした地方のクリニックは、経営状態は必ずしも悪くないといわれています。一体、都会にあるクリニックの経営となにが違うのでしょうか。

クリニックの収入は、保険報酬 − 固定費

クリニックの事業経営自体は複雑なものではありません。簿記の仕分けを持ち出すまでもなく、家計簿と同じで、収入から支出を引けば良いのです。原価は、薬品、注射器などで、ほとんどは患者数と比例します。経費は自分以外の人件費、家賃、設備のリース料、光熱費、医師会費などです。

医師の場合、売上は保険点数の合計で、日本全国一律で1点10円です。

利益(報酬)= 売上(保険点数)- 原価(薬品等)- 経費(家賃、人件費等)

保険の収入は月末に締めて計算して、入金されるのが2か月後なので、この2か月間クリニックを維持するお金が開業資金として必要なことくらいです。原価(流動費)は、クリニックの収支では、売上に比例する性質のものです。これに対して、経費(固定費)は売上に関係なく発生する費用です。地方では、家賃や人件費などの固定的な経費が都会より安いため、マイナス分が少なくなります。地方の自宅の一部で開業するのと、大都市の月額家賃30万円クリニックを運営するのとでは、月当たりの利益(自分の報酬)は約25万円ほどの差が出てきます。

少子高齢化だからこそ地方クリニックが必要とされている

とはいえ地方は固定経費が安い分、経営に有利というのは分かりますが、人口減少による少子高齢化が都会よりも顕著です。クリニックの売上は、患者数と一人あたりの平均保険点数で計算されますから、地方はクリニックの収入も減っていくのではないかと心配になるところです。ところが、実は都市部のクリニックよりも倒産しにくい理由がそこにあるのです。

確かに地方は少子高齢化が進んでいますが、高齢者は現役世代の4倍の医療費が必要といわれています。いまや長寿社会ともいわれる日本は、今後さらに高齢者の受診機会が増えるため、人口が少なくても潜在的な患者数が都会に比べて多いといえるのです。加えて、競合クリニックも密集していないため、一般的に地方クリニックの経営は都会よりも安定しやすいのはメリットといえるのではないでしょうか。

医師の転職・開業で地域医療のあとつぎは増えるか

こうした地方の現状を踏まえて提案するのが、地方のクリニックのあとつぎになるという選択肢です。

医学部入学生のうち、親が医師であるのは、私立で5割、国公立で3割といわれています。医師の過半数は、クリニック経営の実態を知らないということになります。サラリーマン家庭に育ち、医学部卒業以来病院勤務の医師は、独立開業という将来の選択肢を持っていないのが実情です。医師向け転職サイトには、病院から病院の転職情報がほとんどで、開業医になるという情報は少ないです。

地域によっては医療体制が縮小しつつあるという厳しい現実はあるものの、クリニック経営者の視点から見れば、需要は確実にあり、医療設備もすでにあるため初期費用が節約できる。なにより、現実の経営状況が把握できるのは強みでしょう。

この時代、地方移住は都落ちではありません。地方診療を支える中核としての生きがいもあります。最近は、地方クリニックに関する優良な継承案件がインターネットを介して紹介されていることもあります。

後継者がいないクリニックの医師は、自分の誇りであるクリニックを閉鎖せずに、譲渡したいと思っています。地方クリニックのあとつぎ兼開業医として、地域に必要とされる医療を提供し、余暇は地方ならではの過ごし方を楽しめる。さらに、保険報酬は地域差での変動がないのであれば、今後、地域医療のあとつぎになるという道を医師が選ぶ場面も増えていくのではないでしょうか。

出典元

https://www.minnanokaigo.com/news/kaigogaku/no326/

http://www.igakubu-yobinavi.com/parent/parents_job.html

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