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「自分が体調を崩したら、成人式の晴れ舞台に迷惑がかかってしまう」着物専門店のオーナーがM&Aを決めた背景

2024年02月20日

東京都あきる野市で振袖・一般呉服・紋付袴等のレンタル・販売事業を手がける「有限会社ベベノジマ」はこの度、「株式会社NEW HORIZON」に会社譲渡を実現されました。長年お母様と一緒に運営してきた事業を次世代に繋いだ野島近代様は、M&A後も数年は店舗に残り、お客様の対応や着付けを続けられます。
成人式の前に体調を崩し、事業の今後を意識し始めたという野島様。約6ヶ月の交渉期間でどのような経緯があり、NEW HORIZONへの譲渡を決断したのか。野島様に詳しくお話を伺いました。


 

譲渡企業
社名 有限会社ベベノジマ
業種 アパレル・ファッション(振袖・呉服 販売、レンタル)
拠点 東京都
譲渡理由 後継者不在

 


 

譲受企業
社名 株式会社NEW HORIZON
業種 法人向けサービス業(バーチャルオフィス事業 など)
拠点 東京都
譲受理由 新規事業への参入

 


時代に合わせた事業を展開し、約30年続く着物専門店

1998年から20年以上、振袖の販売・レンタル事業と写真スタジオを運営してきた有限会社ベベノジマ。代表を務める野島様のお母様の代から続く、地域に根付いた着物専門店です。野島様のお母様が定年を迎えたタイミングで始めたお店の代表を野島様が引き継いだのが、今から5年前のこと。

60歳で定年を迎えた母が何か商売を始めたいということで始めたのが、ベベノジマの事業になります。元々母の実家が呉服屋さんを営んでいたこともあり、馴染みのある着物専門店をオープンすることになりました。

バブルの頃は呉服を購入するお客様も多かったのですが、時代の移り変わりにより着物離れが進み、今では一般の方が着る機会は激減しています。着物離れが始まった頃に振袖事業を立ち上げて、事業としてはどうにか立て直すことができました。振袖事業をやっていなければ、かなり大変だったと思います。」

東京都あきる野市にお店を構え、地元のお客様が100%だというベベノジマ。振袖は常時300枚以上揃えており、姉妹での利用も多いと言います。帯をはじめ、付属する小物商品も様々なバリエーションの色や柄、サイズを豊富に取り揃えていることが特徴で、購入・レンタルどちらも可能。また、美容室と提携をしており、着付けから前撮りまでセットでできるとお客様から好評があります。

コロナ禍には、必須となったマスクを振袖に合う帯地で作成。一生に一度の成人式を楽しんでもらいたいという願いを込めて、豪華さと華やかさ、肌当たりの良さも兼ね備えたマスクを、振袖を利用いただいたお客様にプレゼントを行っていました。

このように、時代に合わせた商品・事業展開をしてきた野島様ですが、後継者がいない事業の今後を考え始めます。

「自分が体調を崩したらお店が回らない」コロナをきっかけに後継者を意識

愛情を込めてお母様と二人三脚で運営されてきた着物店ですが、ある出来事をきっかけに事業の後継者問題を意識し始めたと野島様は話します。

「もう母親も94歳なので、お店の仕事も頼めることが少なくなってきました。着付けはそう簡単に誰でもできるものではなく、ある一定のスキルや知識がないと難しいです。私も60を過ぎたので、後を継いでくれる人は早めに探し始めた方がいいなと考えていました。

本格的に考えるきっかけとなったのは、お店の一大イベントである成人式の少し前に、私がコロナにかかってしまったことです。着物や美容室の手配など全て私が担当しているので、もう少しタイミングがずれてお客様の着付けができなくなっていたことを想像すると、今考えてもゾッとします。

私が体調を崩したらお店が回らなくなってしまうという状況は深刻だと思い、商工会や銀行など、いろいろな人に相談しに行ったんです。そんな時に教えてもらったのが、東京都多摩地域事業承継・引継ぎ支援センターの存在でした。そこで、M&Aという方法があるということを教えてもらい、バトンズにも繋いでもらいました。」

成人式は1年先、2年先の予約が当たり前であるため、万が一自分が体調を崩してしまった場合、成人式という人生で一度きりの晴れ舞台に迷惑をかけてしまう。そんな不安感からM&Aを本格的に検討しはじめた野島様は、バトンズを通じて後継者探しに乗り出します。

 

最終的な決め手は、将来の構想を描いてくれたこと

東京都多摩地域事業承継・引継ぎ支援センターを紹介してもらうまでは、M&Aという選択肢を考えていなかったと話す野島様。バトンズを通じてご成約に至るまで7名の方と面談をされたという野島様は、買い手候補を募るにあたり以下の点を基準に検討していたといいます。

「同世代の人に引き継いだ場合、また私と同じく後継者を探さないといけなくなると思ったので、若い方にお願いしたいというのは考えていました。若い方であれば、特に着物の知識がない方でもレクチャーすれば大丈夫かなと思っていましたね。店舗に実際に出ていただいて、私が教えながら覚えてもらえたらなと。

そのため、着物に関する知識やスキル、この業界に精通しているかというところは、学ぶ意志がある方であれば求めませんでした。それよりも、しっかり事業を運営していく責任感や人間性の部分を重要視していました。」

面談をされた7名の中からNEW HORIZONに譲渡を決めた理由について、野島様は以下のようにお話しされています。

「代表の牧田さんが女性でお若いということもありますが、何よりも将来の事業ビジョンを明確に示していただいたことが一番の決め手でした。特に、インターネットを使った集客などの事業計画を聞いた時に、私はその分野がすごく苦手なので、この方にお任せすれば今まで出会えなかったお客様にもサービス提供できるのではないかと期待が膨らみました。」

 

初めてのM&A、バトンズのサポートがあったから安心できた

2023年6月末にバトンズで募集を開始し、同年12月末に譲渡契約を締結。人生で初めてのM&Aを終えられた野島様は、成約サポーターとしてM&Aを支援したバトンズの鈴木からサポートを受けながら交渉を進め、約6ヶ月という期間でご成約を実現されました。

「M&Aを検討しはじめた当初、周りの知人からは『いい人を見つけるまで10年くらいかかる』と言われていたので、6ヶ月で良い相手が見つかるなんて思ってもいませんでした。

M&Aは人生で初めての経験だったのでわからないことだらけだったのですが、細かい質問もバトンズの鈴木さんに全部答えていただいて本当に心強かったです。M&Aの知識がなかったので、基本的なことからなんでも質問していたのですが、丁寧に教えてくださいました。成約に至るまで特に問題なく進んだのは、鈴木さんのおかげもかなり大きいと思います。」

数年単位の長期戦になることを覚悟して始められた後継者探しでしたが、わずか6ヶ月というスピードで成約を実現。まだまだ現役で事業に携わっている野島様に、M&Aを終えてのご感想を最後に伺いました。

「母親も90歳を過ぎ、自分も60歳を過ぎた時に、今後誰にこの事業を引き継ぐかということを考え始めました。親族にも引き継いでくれる人がおらず、店舗で働いているパートの方にも断られてしまったので、当初はどうしたらいいかわからず色々な方に相談しました。そんな時に出会ったのが、M&Aという選択肢です。

M&Aと聞くと壮大なイメージですが、まずは気軽にバトンズのようなプラットフォームを活用して探し始めてみてはいかがでしょうか。急にいい人に出会うのは難しいですし、ぎりぎりになってからだと焦りも生まれると思うので、元気なうちに早めに考えておくことをお勧めします。」

ベベノジマと野島様の今後のさらなるご活躍を、バトンズ一同、心より応援しております!

東京都多摩地域事業承継・引継ぎ支援センター 統括責任者補佐 鈴木貴洋様のコメント】
べべノジマ様は、2023年2月に信用金庫様のご紹介で来訪されました。ご親族や従業員様への承継は難しく第三者承継を希望され、地域的なニーズや事業継続の必要性が高いことからマッチング支援を開始いたしました。

 

他の都道府県との連携で進めていましたが進展できず、マッチングの機会を増やすことが良策と考えバトンズ様をお勧めしました。早々に7件のご紹介があり、このうち3件を同時に検討し、当センターはセカンドオピニオンとして都度相談に乗るよう心掛けました。

 

今回のご成約により、相談者様からは取引先にご迷惑をおかけすることなく承継でき、野島社長も大変喜ばれました。譲受頂きました方の今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。

 

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