
▼現在は第4次ベンチャーブームだと言われており、起業する若者が増加しています。第4次ベンチャーブームがこれまでのブームと違う所は2点あります。1つはベンチャーキャピタルのようにベンチャー企業に投資してくれる企業が充実していること。もう1つは、地方での起業が1つのブームとなっていることです。今回は、創業する際に住みやすく、働きやすい町の特徴と具体的な町の紹介を行います。
この他にも創業誘致を盛んに行っている街も多くあります。
創業するなら地方が良い?
まずは住みやすい、創業しやすい町の見つけ方の特徴について説明します。
冒頭でこれまでのブームと違い第4次ベンチャーブームでは地方での創業が多いと説明しましたが、これには3つの理由があります。
1つはITの進歩によって場所が必ずしも重要でなくなったことです。2000年前後に発生したベンチャーブームでは渋谷を中心としてベンチャー企業が成長しました。これはITに関する情報やコネクションについて東京が中心になっていて、地方では情報やコネを作ることが難しかったからだと言えます。しかし、インターネットの発達によりどこの地方でも一定の情報を入手できるようになり、地方でも起業が容易となりました。
2つ目に、地方は生活費が安い事が上げられます。創業するにあたって固定費は大きなリスクになるので、できるだけ賃料相場が安いところで企業した方が成功確率は高まります。また、売上が充分でない創業当初は生活費を切り詰める必要があるかもしれないので、物価が安い所で起業した方が良いでしょう。
3つ目に、地方創生の一貫として創業者へのサポートが充実している自治体が多くなっていることが挙げられます。地域創生のために移住者に補助金を渡したり、地域内の産業振興のための独自の創業、企業サポートをしたりしている地方自治体があります。
以上のような条件を満たした地域で創業することによって創業に関するリスクを軽減することができます。
創業にお勧めの街2選
以上のことを考えると、若者が創業する働くことを考えると、賃料などの生活費が安い地域、移住や創業に対するサポートをしてくれる地方の方が創業しやすいことがわかります。さらに何らかのサポートを受けられるのならば言うことはありません。このことを踏まえて、オススメの街を2つ理由と共に紹介します。
福岡県福岡市
まず、おすすめの街として挙げられるのが福岡市です。意外に思われるかもしれませんが福岡市は全国でも1番開業率の高い都市です。2012年に「スタートアップ都市ふくおか宣言」して以降、積極的に創業者のサポートを行っています。
福岡で創業するメリットはいくつかありますが、まず生活や事業に掛かるコストが安価です。賃貸物件の相場や食費が安いのはもちろんのこと、町全体がコンパクトにまとまっていて、郊外は自然が豊かなので生活がしやすいです。さらに東京よりも物理的にアジアに近く、町としても国家戦略特区としてビザの緩和を行うなど、アジア圏にビジネスを広げやすい立地です。
また、最大のメリットは創業サポートが充実していることです。町の中心部にある廃校した小学校の跡地を利用して「FUKUOKA growth next(福岡グロースネクスト)」という企業のインキュベーション施設をつくり、ベンチャーキャピタルや事業会社と連携して新興企業の成長をサポートしています。
また、税制についても、スタートアップ法人減税という法人税の軽減措置を全国で初めて行っていますし、国家戦略特区として海外からの起業家を集めるスタートアップビザという制度を全国で唯一行っています。
生活環境、起業環境ともに最も優れた町の1つです。
宮城県丸森町
続いて紹介するのが宮城県の丸森町という町です。丸森町は福島県と宮城県の県境にある、人口1.5万人程度の小さな町です。都会のような便利さはありませんが、生活に必要な施設は一通りありますし、車さえ運転できれば生活には困りません。
この丸森町は2017年から、創業を促進するために挑戦的な取り組みを始めました。それが、「まるまるまるもり」プロジェクトです。このプロジェクトは、丸森町への移住・起業者に対してベーシックインカムとして20万円を最大3年間支給するという制度です。
厳密に説明すると、移住・起業者を地域おこし協力隊として採用して、その報酬として20万円を支払うのですが、起業当初の生活不安を解消できる、起業家にとってはとても有利な制度です。
また、それだけではなく、必要に応じて、ベンチャーキャピタルや事業会社のフォローを受けることができるので、創業のサポート体制も充実していると言えます。
はじまったばかりの制度で、募集人数も限られていますが、まだ知名度は決して高くないので気になる人は応募してみても良いでしょう。
地方企業と第二創業
以上のように若者が働きやすい、起業しやすい町について説明してきました。今回は福岡市、丸森町という若者の創業を支援している自治体の中でも、かなり先進的な取り組みをしている2自治体について紹介しましたが、他にも多かれ少なかれ若者の移住や起業促進に力をいれている自治体は存在します。
今回は創業しやすいという観点から説明しましたが、実は地方では第二創業も狙い目です。地方には経営も安定しており、魅力的な事業をしている会社はたくさん存在しますが、後継者不足により廃業に追い込まれているケースも多いです。
このような事業を買い取る事によって、ただ自分で創業するよりもスピーディーに会社を成長させることも可能です。また、企業の後継者対策は国策としても考えられており、政府系金融からの融資や、各種補助金の支給も期待できます。
ぜひ、地方での起業、第二創業に注目してください。
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