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ガス会社から「生活インフラ企業」へと進化。多角化を進める大洋ガステックの理念共有型M&A

2025年08月25日

福岡県でLPガスの供給事業等を手掛ける「大洋ガステック株式会社」は2025年4月、バトンズを通じて、ウォーターサーバー事業を展開する「株式会社オーケンウォーター」を譲り受けされました。このM&Aを主導したのは、大洋ガステックで専務取締役を務める井上篤様。大洋ガステックが「ガス会社」から「生活インフラ企業」へと進化するなかで決断したM&Aや今後の戦略について、井上専務にお話を伺いました。


 

譲渡企業
社名 株式会社オーケンウォーター
業種 飲料水の製造・宅配事業
拠点 兵庫県
譲渡理由 後継者不在

 


 

譲受企業
社名 大洋ガステック株式会社
業種 エネルギー事業(LPガス)
拠点 福岡県
譲受理由 経営の多角化

 


ガス会社から「生活インフラ企業」へ。事業の多角化に向けてM&Aに挑戦

大洋ガステックは、2025年で設立から70周年を迎える歴史ある企業。専務取締役を務める井上様のお祖父様が、1945年に創業、1955年に設立しました。現在は井上様のお父様である井上利生様が代表を務め、2代目として事業を運営しています。

大洋ガステックは福岡市に本社を構え、糸島市や太宰府市にも営業所を展開。LPガスの供給やガス設備の販売を通じて、地域の暮らしを長年支えてきました。これまで培ってきた顧客との信頼関係を基盤に、安定経営を続けています。

しかし同社は、今後のエネルギー業界を取り巻く環境変化を見据え、「生活インフラ企業」への転換を視野に入れて事業の多角化を検討。その取り組みについて、井上専務は以下のように語ります。

「私たちが事業の多角化に取り組む際に意識しているのは、大きく2点あります。1つ目は、主力であるLPガス事業とのシナジーが見込めること。そして2つ目は、既存のお客様に付加価値のあるサービスを提供できることです。単に売上や事業規模を拡大するのではなく、お客様にとって本質的に価値のある事業かどうかを重視しています。

この考えに沿って、大洋ガステックは『新規事業の立ち上げ』と『M&A』の両輪で多角化を進めてきました。新規事業では、2021年に工事部門として『株式会社ファーストステップ』を設立し、さらに2022年には『大洋リフォーム』というブランド名で住宅リフォーム業に参入。一方、M&Aによる展開としては、今回の『株式会社オーケンウォーター』の譲受が初となります。」

「お客様の安心・安全を守る」という根幹の一致が最も重要

M&A案件の情報収集にあたり、井上専務はM&AプラットフォームのBATONZを活用。当初、福岡県の企業を中心に探していたものの、最終的に譲受したのは、兵庫県に本社を置き、ウォーターサーバーのレンタルと天然水の販売を行う「オーケンウォーター」でした。

オーケンウォーターは、京都丹波・富士山麓・大分天領などの銘水地で採水した天然水を、48時間以内に全国へ届けるサービスを展開しており、1万人以上の定期顧客を有しています。福岡県から遠く離れた関西エリアの企業を譲受した理由について、井上専務は以下のように述べます。

「まず、両社ともに、生活インフラに関連する事業を展開しているという共通点がありました。大洋ガステックはガス、オーケンウォーターは水を取り扱っており、どちらも人々の生活に欠かせません。

さらに、両社には“お客様の安心・安全を守る”ことを重視しているという共通点もありました。この根幹の部分が一致していれば、業種や営業エリアが違っても、十分にシナジーを見込めると確信しました。」

上場企業も名乗りをあげる中、大事にする価値観を誠心誠意伝えた

今回のM&Aには複数の企業が名乗りを上げており、その中には上場企業も含まれていました。オーケンウォーターの譲受に至るまでには、大きな壁があったと井上専務は振り返ります。

「当社は中小企業ですので、資金力ではどうしても上場企業に劣りします。だからこそ、私たちは“お金では測れない部分”に注力しました。たとえば『ともに長く成長していきたい』という強い想い、そして『M&A後も従業員の皆さんをしっかり守っていく』という誠意を、オーケンウォーターの前オーナーや社長に丁寧に伝えました。」

井上専務がとりわけ丁寧に説明したのは、雇用の継続と環境の充実化。前オーナーも、M&A後の従業員の雇用環境をとても大切にされていたそうです。

「大洋ガステックでは、『従業員が自分の会社に誇りを持ち、家族からも感謝される会社を目指す』という考えのもと、福利厚生の充実に力を入れてきました。こうした価値観がオーケンウォーター側と合致し、ご評価いただけたことが、最終的に当社が譲渡先として選ばれた理由の大きなポイントだったのではないかと感じています。」

M&A仲介会社の介在により、交渉や契約がスムーズに

M&Aを進めるにあたり、大洋ガステックはM&A仲介会社によるサポートを選択。その感想について、井上専務はこう振り返ります。

「今回のM&Aでは、大手M&A仲介会社様に仲介をお願いしました。当社にとって初めてのM&Aだったこともあり、分からないことや不安も多くありました。ですが、専門家の方が間に入ってくださったことで、交渉や契約などをスムーズに進めることができました。正直、仲介会社のサポートがなければ、無事に成約まで至らなかったかもしれません。」

成約後、前オーナーはご勇退され、井上専務が新たにオーケンウォーターの代表取締役に就任。これまでオーケンウォーターの取締役社長を務めてきた近藤様は、引き続き現場の実務責任者(取締役社長)を担う体制となりました。

「面談を重ねる中で感じたのは、大洋ガステックと企業経営に対する考え方がよく似ているということでした。そういう意味で、M&Aにおいては、譲受後のキーマンとなる人物との“価値観の一致”がとても重要なのだと実感しました。」

「理念の一致」を大切にし、生活インフラ企業として発展を目指す

大洋ガステックとオーケンウォーター。この両社の間に、どのようなシナジーが生まれるのでしょうか。井上専務は、その展望をこう語ります。

「両社の営業エリアが離れていることは、むしろ大きなメリットになると捉えています。たとえば、当社の主力であるLPガス事業を、兵庫県に拠点を持つオーケンウォーターを通じて関西圏へと広げていく。そんな将来的な展開も視野に入っています。

さらに、オーケンウォーターは全国に顧客を抱え、ネット集客を得意としています。この強みを活かせば、『大洋リフォーム』を、地域を超えて広げていくことも可能だと考えています。」

今後、大洋ガステックでは、事業拡大の一手としてM&Aの活用を視野に入れていくとのこと。しかし、やみくもに規模拡大を追うのではなく、「理念の一致」を大切にしていきたいと井上専務は強調します。

「先ほど申し上げたように、私たちの根幹には、“お客様の安心・安全を守る”という強い想いがあります。この理念を共有できる企業であれば、M&Aを通じてより良いサービスを一緒に届けていけるはずです。今後も福岡や九州にとどまらず、広い視野で可能性を広げていきたいと考えています。」

より多くのお客様の安心・安全を守るため、生活インフラ企業として発展していく大洋ガステックグループ。今後のさらなるご発展を、バトンズ一同、心より応援しております!

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