
▼ 2億円以下が98%、64%が1億円以下。数字で見る個人M&Aの実態とは?
4年余り実証実験を続けてきた小規模事業者向けM&Aサービス「アンドビズ」を、より使いやすく、より気軽に使ってもらうための新サービス「バトンズ」にリニューアルしてから早1ヶ月になりました。
まだまだやらなければいけないことが山積みで、本当にあっという間の1ヶ月でした。
こんにちは。小さな会社のオンライン事業承継・M&Aサイト「バトンズ」運営人 アンドビズCEOの大山です。
さて、バトンズの本格ローンチから1ヶ月。
旧アンドビズ時代から見ると、マッチング数やマッチングスピードが段違いに早くなり、利用ユーザーも日本最多の1万7000人に迫るなど、マーケットが物凄い勢いで拡大しているのを肌身に感じる毎日ですが、その一方色々なお話も出てくるのが世の常でしょうか。
先日もとある銀行から、「バトンズは実は小さな案件はやってないと聞いたのだが、本当か?」というお問い合わせがありました。
どうもそういう噂を吹聴している方がいるようなのですが、そういう御仁は兎も角、そう思われても仕方がないのが、過去のM&A業界だったのも事実です。
何せM&Aというのは非常に手間がかかり、専門家からすれば、小型案件は採算が合わないことがしばしば。
それ以上に小さな会社の相手を探すこと、そこから成約までキチンとフォローするというのは言うが易し、行うに難しと言う世界で、ネットマッチングで相手は見つかっても、まともに成約するはずがない。
本当は大きな案件をやって実績を稼いでいるのではないのか? という訳です。
小さな企業のM&Aや事業承継を助けるために新会社まで作ったのに、こう言われるのはとても心外なのですが、とはいえ、サービスを運営する以上そうした疑問にはキチンとお答えすることも大事なことだと思っています。
そこで、今回はバトンズ(旧を含む)で扱った小規模、個人M&Aの中から、公開できるデータを元に日本の小規模・個人M&Aの実態をお伝えすることにしましょう。
▼ 平均年商は7301万円 97%が年商1億5000万円以内
バトンズに登録されている譲渡希望の案件数は通算1100件を超え、現在公開されている案件数も400件あまり。それも毎日変動してしていて、月に数十件以上は入れ替わる構造です。
尚、バトンズではマッチングサイトとしては珍しく、登録にあたってキチンとした本人確認、事前審査しており、何でもかんでも公開するということはありません。
現時点での譲渡希望案件の97%以上が年商1億5000万円以内、しかも大半が年商1000万から5000万円の間であることがわかります。
因みに全案件の平均年商は7301万円です。
バトンズが、真に小規模、個人M&Aに特化したサイトであることがよくわかっていただけると思います。
▼ 成約案件の98%は年商2億円以下、64%が1億円以下
さて、小さな会社の登録件数が多いからといって、必ずしも小さな会社で成約しているとは限らない、という声もあるでしょう。
特に長くM&Aの仕事をしてきた専門家であればあるほど、そうした疑問を抱かれるのはある種当然だと思います。
以下に示しているのが、バトンズ(アンドビズを含む)で現在までに成約した152件の年商別の分布です。
実に98%が年商2億円以下です。
更に1億円以下が64%で、5000万円以下も31%と3分の1近くを占めているのです。
成約しているのは大きな案件、ということは全くなく、むしろ小規模、個人事業が大半であることがわかります。
ちょっと自画自賛になってしまいますが、この辺がバトンズが過去のM&Aとは一線を画す一番大きな点なのかなと思っています。
▼ 成約案件の55%が債務超過、35%が営業赤字
更に驚くべきデータが次の数字です。
小規模でも内容が良ければM&Aが可能なのは誰でもわかりますが、バトンズ(アンドビズ)で「成約した」案件のうち、55%が債務超過、そして35%が営業赤字の状態で成約しているのです。
この数字にはM&A専門家の方は特に驚かれると思います。
従来こうした案件は、成約しない、できないものと考えられてきたからです。
バトンズの本格運用からまだ一月のため、実績は旧アンドビズ時代のものが大半ですが、実はバトンズになってからマッチング件数は10倍近い値になっています。
それを考えると、恐らく今後、更に小規模、個人型M&Aの成約に拍車がかかっていくのではないでしょうか。
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