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2027スーパー・メガリージョン構想、新経済圏の誕生で陸の孤島化した地方の事業承継どうなる?

2019年09月13日

「スーパー・メガリージョン構想」という計画をご存知でしょうか。

2027年、リニア中央新幹線が開通し、首都圏と中部圏と関西圏の三大都市圏が一体化されるとされています。それによって巨大経済圏を創造する計画が、スーパー・メガリージョン構想です。

今回は、2027年に誕生するスーパー・メガリージョン構想の概要や、今後起こりうる経済への影響に焦点を当てつつ、変化の波に乗りながら事業継承に取り組むためのポイントを紹介します。

 

今まで注目されなかった地方都市が、スーパー・メガリージョン構想で活性化する?

現在、建設中のリニア中央新幹線が開業することによって、首都圏・中部圏・関西圏が約1時間で結ばれるようになります。スーパー・メガリージョン構想は、この3つの経済圏をひとつの巨大な圏域と捉えられています。

最も大きな変化は、これまでよりも地方から東京へ容易にアクセスできるようになることです。現状は、東京に企業も人口も集中していますが、リニアが開業すれば1時間以内で東京へアクセスできる地方都市の数が大幅に増加します。よって、「地方に在住しながら都市圏で働く」というライフスタイルをより選択しやすくなるのです。

リニアは、途中いくつかの駅を経由して関東〜関西を縦断するとされています。経由する駅の中には、長野県飯田市や岐阜県中津川市といったこれまで新幹線が止まらなかった駅も含まれる予定。例えば現在、飯田市は東京までの片道はバスでも電車でも4時間を超えますが、リニア開通後は品川まで約45分で結ばれます。

陸の孤島のようにアクセスが悪く企業や人が集まりづらかった地方都市が、新しい駅をきっかけに注目され、企業や人口の増加を促進させる起爆剤となるか。中部圏の経済が大きく動くと地元では期待されています。

 

移動時間が短くなると、地方の物価と雇用にも影響

首都圏だけでなく地方都市から地方都市へのアクセスが良くなると、毎日の移動範囲が格段に広がり、居住地から離れた地方都市で働くことも可能になります。Uターン、Iターンもしやすくなるため、地方の人口減少防止策としても期待できるのではないでしょうか。

さらに、移動時間が短縮することで、ビジネスにおいても好循環が期待されています。

アクセスが改善され企業が集まりやすくなるということは、物流の面でみてもコスト削減に繋がるので、商圏が広がると予測され、結果、企業はよりきめ細かなサービスを実現できるように。

人だけでなくモノも用意に行き届くとなれば、それに伴って顧客が増え売上増加にもつながります。付随して生産量も増えるため、新たな雇用の創出にも大きく貢献するのではないでしょうか。

こうして、さらなる雇用の創出が生まれることで、地方の人材不足を解消することがスーパーメガリージョン構想の狙いのひとつでもあります。

実は、スーパー・メガリージョン構想の対象となる首都圏・中部圏・近畿圏の人口の合計は2015年時点で8,200万人(域内GDP3.2兆ドル)に上るとされ、この人数は国際的な都市であるシリコンバレーの2017年時点の1,000万人(域内GDP0.8兆ドル)を遥かに凌ぎます。世界的に名だたる有名企業を排出しているシリコンバレーよりも圧倒的な人口規模を構成し、リニア中央新幹線によってさらに情報やモノの流通が活性化するとなれば、優良企業の支社やそれに関わる新たな経済圏が生まれる土台となるでしょう。シリコンバレーに負けない、グローバルな優良企業を多数排出することになるかもしれません。

世界のメガリージョン(P13):国土交通省

 

一方、2019年は中京エリアの人口が3万人以上減ったという現実も…

実は、トヨタやヤマハの本社がある中京エリアは製造業が盛んな地域として知られ、日本の製造メーカーの拠点となっている重要なエリアです。しかし、中京エリアは人口減少が進んでおり、地域の製造メーカ-は事業承継の課題に直面しています。追い討ちをかけるように、2019年、愛知、三重、岐阜の3県では3万1906人が他県へ流出しました。

実際、愛知県の2017年の倒産件数は562件、1,238件もの企業が休廃業・解体しています。しかも残念なことに、こうした企業はすべてが経営難によって休廃業を選択したわけではありません。

実は「黒字経営」であり、業績が良いにも関わらず休廃業という手段を取る企業が少なくないのです。この背景には、深刻な後継者不足の問題が存在しています。将来性という面で見ても、廃業予定の企業のうち42%以上の企業が「少なくとも現状維持は可能」と回答していることからも、中部圏の企業が直面している後継者不足の深刻さは特筆すべきものがあります。

こうした現状を踏まえ、愛知県は東京都からの移住者に100万円を支給する措置を取るなど、人口減少を何とか食い止めようと尽力しています。しかし、後継者不足に苦しんでいる県では全国で14番目に位置付けられており、なかなか厳しい状況です。

移住者を優遇するようなケアもなかなか課題解決には至らず、中京エリアを中心に、中部地方に拠点を置く企業の後継者不足は深刻なままです。親族が承継を受け入れず東京に出ていってしまったり、親族内外に適任がいないなど、経営者が事業を承継できない状態が続いているのです。

2015年に日本M&Aセンターが発表した資料*によると、中小企業経営者の年齢は年々高まっており、1999年~2018年の19年間で54歳から59.7歳へ推移しています。これは、事業承継がうまくいかずに経営者がなかなか引退できない実情を物語っており、多くの経営者が60代後半〜70代まで現役を続けていることも分かっています。

経営を他者に委ねずにいた場合、経営者がやむを得ない理由で一線を退くまで経営し続けることになり、社員は自身の雇用についての不安を抱え続けることになるでしょう。そういう状態のまま後継者問題を放置してしまうと、経営者が退いたタイミングで企業内部の弱体化が生じる可能性も考えられます。

このままでは、2025年には22兆円ものGDPが失われると言われており、早急に手を打つ必要があります。

そこで、後継者不足による廃業に歯止めをかける手段として、いま見直されているのが、第三者事業承継(M&A)です。実は、愛知県は、東京・大阪に次いで3番目にM&Aが盛んに行われており、第3者事業継承に積極的な県でもあるのです。

参考:https://www.nihon-ma.co.jp/corporate/media/pdf/factbook_date_201902.pdf

 

リニア開通以降、中部の事業承継問題と経済を救うのは観光客?

中部圏の人口流出と後継者不在による事業承継問題を取り上げてきましたが、決して先が暗いわけではありません。

リニアが開通すると、地方都市には新たな交通手段が開かれることになります。先述しましたが、これまで以上に企業や人が地方に集まり、経済が活性化することが期待できます。これは、後継者不在問題にとっても追い風になると考えられます。

 

観光を目的とした交流人口をいかに増やすかで勝負!

リニアによってヒト・モノ・カネ・情報が地方都市にも行き渡りやすくなると、定住人口だけでなく地方を訪れる交流人口も増加します。それによって地方都市でも新規ビジネスを立ち上げや独立をしやすくなり、大都市圏との経済格差も是正される可能性が高くなるでしょう。

各地方の交流人口が増えて地元住民に外部との接触が生まれると、そこから新しいアイデアやコミュニティーが生まれてビジネスに良い影響をもたらしてくれるかもしれません。

地元の中小規模の社長も現状の社員や親族に限らず、新たな後継者候補も視野に入れるべきではないかと、新たな発想を取り入れるための一助となり得るでしょう。

地方都市がインバウンドで一発逆転するとき

これまでは、外国人観光客が訪れる地域は限られており、アクセスも悪く目立った観光資源を持っていない地域は、訪日観光客の興味を引くことができずインバウンド需要の恩恵を受けにくい状況でした。

しかし、スーパー・メガリージョン構想が実現すれば、これまで観光客が少なかった地域に対しても訪日観光客が足を伸ばす機会が格段に増えるでしょう。リニアの開通でアクセスしやすくなる都府県はいくつかありますが、その中でも中部〜東海地方にかけては大きな恩恵が得られると考えられています。

愛知県、岐阜県、三重県に焦点を当ててインバウンド需要の変化を予測してみましょう。

2017年に愛知県が発表した「観光入込客統計に関する共通基準」に基づく観光入込客統計によると、訪日観光客が愛知県で消費した年間の金額は約8400億円とされています。2014年には年間3000万人に満たなかった都市部への訪日観光客の数は、2018年の時点で5000万人を超えており、なだらかな右肩上がりで上昇しているのです。現状のアクセスがリニアでさらに改善されれば、愛知県へのインバウンド需要もさらに高まることが予想され、訪日観光客が愛知県で消費する年間の総額は8400億円を突破するとも見られています。

岐阜県に着目すると、年間81万人程度の訪日観光客が訪れていることが分かりますが、これは全国でも17番目に位置する順位です。白川郷や高山の町並みなど、古き良き日本の風景が多数残っていることや、日本でも屈指の温泉街があることで、徐々に訪日観光客からの人気が高まっている地方都市のひとつと言えます。スーパー・メガリージョンによって中津川に新たな駅が誕生し、外部から県内へのアクセスが容易になれば、訪日観光客の数もさらに増加することが予想されるでしょう。

三重県は岐阜県ほどインバウンド需要が高いわけではなく、年間19万人程度の訪日観光客が訪れます。しかしその反面、一回の旅行で滞在する平均日数は7日程度となっており、他の地方都市に比べて長くゆっくり観光するケースが多いとされています。

スーパー・メガリージョンが実現すれば、上記で紹介した3県のそれぞれがインバウンド需要を加速させるだけでなく、その他の県とも容易に繋がることで、中部圏一体が一つのまとまった観光地として、相乗効果を発揮するのではないでしょうか。

こうした影響によって、これまで日の目を見ることのなかった観光資源や、地方都市の新たなニーズといった隠れた可能性にも期待が持てるようになります。もちろん、訪日観光客だけでなく国内からの観光客を呼び込む効果もあるでしょう。

一見、インバウンドから得られる恩恵は事業承継とは無関係のように思えますが、新たなマーケットが生まれることで対象地域の経済が活性化し、これまでは無かった利益が生まれるなど、予想もしなかった形で事業承継問題に貢献することもあるかもしれません。

まとめ

スーパー・メガリージョン構想によって、これまでは東京に一極集中だったヒト・モノ・カネ・情報が中部圏から全国各地へと広がる経済の流れが誕生しようとしています。それに伴って、中部圏の該当地域では不動産価値が見直され、物価も高まるなど、大変革が起こるとも予想されます。事業承継を検討している方は、新しい経済圏の誕生に備えて準備をしておくことで、スーパー・メガリージョン構想のメリットを最大限に受け取ることができるのではないでしょうか。

 

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