M&Aと店舗型ビジネスの親和性
合同会社フードビジネス多店舗展開研究所

―貴社の事業内容と設立の背景について教えてください。

私は1980年からケンタッキーフライドチキンで35年ほど勤務し、フランチャイズの営業現場で20年ほど携わりました。最終的にはゼネラルマネージャーとして、全国820店舗の責任者も務めました。

その後は役員として店舗開発を7年ほど経験し、定年退職を迎えたことをきっかけに現在の会社を設立しました。事業内容は社名に表すとおり、おもに店舗型ビジネスの多店舗展開やフランチャイズ経営についてのコンサルティングを行なっています。

地域に根差した店舗型ビジネスは苦境に立たされる場面も多く、これまでも経営者が「次の一手」を見いだせずに苦労している姿を目にしてきました。また、日本の飲食業界は外国チェーンと比べるとまだまだ遅れている部分もあり、業績が伸び悩んでいるケースも多いです。

そういったお悩みに対して、これまで私が現場で培ってきた経験とノウハウを提供し、経営者自身が未来に希望を持てる環境を作りたいという思いから、事業を展開しています。

―お仕事をするうえで、どのようなことを大事にされていますか？

「クライアント第一主義」の理念のもと、経営者が抱える本質的な課題の解決策を提供することを心がけています。そのために、型にはまらない柔軟な発想と、現場感覚を持った具体的な提案を重視しています。また、経営者の立場で考え、短期的な成果だけでなく長期的な成長を見据えた提案を行うことも大切にしています。

特にフランチャイズの場合、加盟店は大きな投資をするので、瞬間的な儲けよりもどれだけ長く続けられるかを考えています。加盟店にはそれを運営している人はもちろん、そこに勤めている従業員の方もいらっしゃるわけなので、「本部としての責任を果たすことが必要」という視点は、本部となる経営者の皆様に常々お伝えしています。

―店舗型ビジネスとM&Aには、どのような親和性があるのでしょうか？

たとえば、地方で10店舗、20店舗を展開している既存チェーン店をM&Aで取得し、看板を変えて展開するという方法があります。新規事業として店舗型ビジネスを始めたい場合は、すでに運営されている1店舗をM&Aで取得し、そこから多店舗展開やフランチャイズをしていくという方法もあります。

既存店舗をベースにすることで、売上やコスト、顧客層などを把握できた状態からスタートすることができます。すでに見えている数字や課題をもとに運営ができる分、0から1を立ち上げるより成功率が高くなるのは、イメージがしやすいのではないでしょうか。

―M&A成功のためのキーサクセスファクターはどのようなものだと思いますか？

M&Aを実施する上で一番重要なのは、明確な目標設定を行うことではないでしょうか。これがはっきりしていれば、その方向性に沿った計画を立てることが可能になります。そのため、当社はその部分からしっかりとヒアリング・サポートをしております。

また、事前準備を丁寧に行うことも重要です。相手先の情報を精査することはもちろん、その過程で経営者同士が相互理解を深め、統合後もきちんと連携できるような関係性を構築していくことが、M&Aを成功に導く要因になると考えています。

―今後のビジョンを教えてください。

多店舗展開やフランチャイズ化支援の領域を拡大するとともに、地域密着型のM&A支援を強化したいと思っています。また、最近ではクライアントの多くが海外展開を視野に入れているため、グローバル市場への展開支援も重要な課題となっています。

私たちの支援が、地域と世界を繋ぐ架け橋となることを目指しています。クライアントの成長と成功を支援する存在として更なる価値を提供できるよう、努めて参ります。