ノウハウ

2018.11.08

小規模・個人型M&Aで絶対忘れちゃいけない大事なこと。本当に継ぐのは「モノ」ではなく「社員」です!

▼ 安心・安全なM&Aのために。M&Aのプロの知識とノウハウを形にしてくれるエンジニアさんを大募集中

 

こんにちは。バトンズの運営人、アンドビズCEOの大山敬義です。
私は28年余りM&Aの世界で生きてきた、この世界ではかなりのベテランになりますが、最近のM&Aの拡大には本当に驚くばかりです。
その一方で、今までプロの世界では当たり前だったことが、平然と見過ごされていたり、素人同士で大きなリスクを孕むような進め方をしていたりと、ちょっとハラハラすることも多くなりました。
せっかくの素晴らしいM&Aも、リスクを見逃したばかりに大きな事故を起こしてしまったら、全てが台無しです。
そればかりではなく、最悪の場合は自分だけでなく、周囲の人たちの人生までもメチャクチャにしかねません。

私の夢は、バトンズを通じて、M&Aの知識が乏しい方でもトラブルなく、安心してM&Aができるようにすることです。
その為に多くのスタッフが、私のようなM&Aの専門家が、数十年に渡り、それこそ数千件の成約や失敗の中から、経験として培ってきた様々なノウハウを体系化し、使いやすいようにシステム化できるよう毎日開発を進めています。

でも、残念ながら私自身はエンジニアではないので、やりたいことも、やれることも沢山あるのですが、それをシステムにして皆さんに提供する力がありません。
そして、アンドビズ自体会社としては創業期にあるので、まだまだエンジニアの数も足りません。
ということで、アンドビズでは只今日本のM&Aを変えるエンジニアさんを絶賛募集中。
貴方の手で、M&Aのプロの知識と経験を日本で初めてのプロダクトにしてみませんか?
多くのエンジニアの方のご連絡をお待ちしております。

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▼ 忘れないで!M&Aで本当に継ぐのは「モノ」ではなく「社員」です!

 

さて、今日の本題なのですが、最近法人ではなく個人、または個人事業者が買い手となる所謂個人型M&Aに注目が集まっています。
寄らば大樹の陰で、大企業の中で組織人として大成することが重視されてきた日本で、こうしたチャレンジをしようとするやる気のある経営者予備軍がどんどん出てくること自体日本が大きく変わる可能性を秘めており、私自身も是非こうした人達を応援したいと思っています。
ただ、今後そういうチャレンジをしたいと思う人達に是非伝えたいことが一つあります。
それは起業にしろ、M&Aにしろ、経営者になる、ということはどういうことなのか、ちょっとだけ考えてほしいということなのです。

私自身、経営に携わる前に、もう今は上場しているある企業の社長に「従業員と経営者の一番の違いは何でしょうか?」と尋ねたことがあります。
その社長の答えは次のようなものでした。
「大山さん、それは簡単ですよ。給料日が近ずくと嬉しいのが従業員、給料日が近ずくと胃が痛くなるのが経営者です」
その時はそんなものかと思っただけですが、いざ経営者になってみるとまさにその通りでした。
初めて経営らしい経営をしたのは、企業再生で引き受けざるを得なくなった地方の温泉旅館でしたが、初めに投入した資金はものの一月半くらいで綺麗さっぱり無くなってしまったのです。
ともかく今月の給料をどうやって支払おうか、そればかりが頭を過って夜もろくすっぽねれなかったことを今でもよく覚えています。

この時身を以て知ったのは、一見温泉旅館のような建物や温泉などのハードウエアで成り立っているように見える事業であっても、実際には社員がいなくなってしまば1日だってやっていかないということでした。
そして同時に私が譲り受けたもの、そしてこれからマネジメントしていかなければならないものは、建物でも客室でも送迎バスでもなく、旅館で働く従業員一人一人であったのだと思い知ったのです。

文字で書くと当たり前のことなのですが、経営の経験がない、あるいは浅い買い手や、あるいは大企業であってもサラリーマンがM&Aを検討すると、ついついモノの売り買いのように考えがちです。
高いとか安いとか、値段のことばかり気にするようになり、終いにはバリエーション(企業評価額)より安く買えたから成功のような話までし始めるようになります。
そこには、家や車と同じように、単にモノとしてしか会社を見ておらず、そこで働く人たちやその家族の存在なぞ微塵もありません。

人はパンのみに生きるにあらず、と昔から言います。
社員にとって会社とは生活の糧を得る場であるだけでなく、一回しかない人生の大半を過ごす場所でもあるのです。
極端な話をすれば、経営をするということは、他人の人生を背負うということと同義です。社員を幸せにするも、不幸にするも、お金持ちにするもワーキングプアにするも、そのかなりの部分は経営者の責任です。
それは起業であっても、M&Aであっても、経営者となった以上必ず背負わなければならない重荷だと言ってもいいでしょう

 

▼ 最初のM&Aは「社員の数」に注目

 

さてここまではある意味当たり前と言えば当たり前のことですが、次にそれをどうM&A戦略に生かすかについて考えてみましょう。
まずM&Aが初めてのお客様には私が必ず最初にアドバイスしているのは、最初のM&Aは必ず身の丈にあった会社を選びましょう、ということです。
ここでいう身の丈とは、売上とか売買価格のことではなく、「社員の数」のこと。
これは経営してみて初めて分かることなのですが、社員が10人以下の会社と30人の会社は明らかに社員のマネジメント方法が異なります。(もちろん業界にもよりますが感覚的に)
10人くらいの時は社長自身がトップセールスであり、あるいは最高のエンジニアであり、同時に経理部長であり総務部長でもあります。
しかし30人を超えるあたりで、初めて中間管理職の存在が必要になり、多くの企業では管理職の能力が、これ以上会社が伸びるかどうかのカギを握るようになります。
更に100人位のところに、さらにもう一段高い壁があります。
ここを超えると社長は全社員が日々何をしているのか、完全に掌握することは不可能になります。
つまりそれなりの組織的な仕組みを作らないと会社が回らなくなってくるのですね。

銀行の合併などをみても分かるように、異なる文化や歴史を持つ2つの組織を融合させるというのは昔から至難の技です。
そして、それは組織をマネジメントするトップ自身と言えども一緒なのです。
10人のマネジメントができた経営者がいきなり100人の会社を経営できるかと言えば、かなり困難でしょうし、自ら現場に出てトップセールスに励むゴリゴリの体育会系経営者が、ITエンジニアをマネジメントしようと思えば相当苦労しそうです。
よく日本企業は海外の企業買収が下手だと言われますが、これは買収価格の問題ではなく、良くも悪くも均質性が高い日本企業は、言語も宗教もバラバラなダイバーシティに富んだ組織のマネジメントに慣れていないというだけのことです。
ましてや今までサラリーマンだった人間が経営者になるパターンなら余計です。

そんな訳で、特に初めてのM&Aの場合は、社員をいかに上手く引き継げるかが勝負になります。
今30人の会社をマネジメントできているからと言って、異なる文化や価値観を持つ別の30人の会社の人材をマネジメントできるとは限りません。
むしろ経営者自身が30%くらいの力でマネジメントできる程度の規模に留めておかないと、虻蜂取らずになり最悪共倒れということもありえます。
人間はお金では買えませんから、人が引き継げなければ会社は只の空箱でしかありません。

確かに小が大を飲むタイプのM&Aはロマンがあるのも事実です。
しかし大企業なら単に金融レバレッジの世界の話でも、中小企業の世界で成功できるのは、たまたま元々大きな組織をマネジメントできるだけの器を持った経営者がやった場合だけのことなのです。
自分自身の経営者としての器がわからない時には手を出すべきではありません。

小さな会社の場合、M&Aで会社を買うと言っても、機能としては数名な小さなサークルの代表を引き受けるのと大した違いがありません。
サークルでも部活でも、あるいは自治会でもなんでもいいのですが、そういう団体の代表をやったことのある人なら、お金では人は動かないことはよくわかっているはずです。
人を動かすには、目的や目標を示し、相手の嗜好を理解した上で、その性格と能力にあった適切な役割を与えて、やるべきことを明確にしてあげなければなりません。
それだけでなく、個々人の動機付けをし、場の熱量をあげ、時に悩みを聞き、なだめすかしながら、目的が達成されるまで、そのプロセスを継続し続けなければいけない訳です。
雑な言い方をすれば、その団体の目的の中にお金を稼ぎ、分配するという機能が加わったものが会社です。
投資額も大事ですが、まず人間に一番着目しなければ、会社がうまく回るわけはないのです。

逆説的に言えば、小さな会社のM&Aとは、モノの売買ではなく、むしろお金を払って人の運命を背負わせてもらうことなのかもしれませんね。

(執筆)

オンライン事業承継・M&Aマッチングサイト

運営人 アンドビズ株式会社代表取締役
大山 敬義

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