TOPM&A記事・コラム成功事例大阪独立後、香料メーカーを買収「歴史ある会社の立て直しはM&Aの醍醐味」

独立後、香料メーカーを買収「歴史ある会社の立て直しはM&Aの醍醐味」

2020.12.18

関西在住の谷口様は、約17年勤務したインキメーカーを退職後に独立し、今年秋に香料メーカーを買収しました。これまで印刷業界で培ってきた営業ノウハウを活かし、創業70年の老舗企業の立て直しと新たな市場開拓に取り組まれています。なぜ歴史ある会社を引き継ぐことになったのか詳しくお伺いしました。

自身の営業力で事業を伸ばせる案件との出会い

――まずは、M&Aを検討し始めたきっかけから教えていただけますか? 

もともとは印刷会社向けの印刷資材を扱う会社に17年勤務していたのですが、営業をやりながらも会社勤務以外の働き方を模索していました。年功序列の会社でひとつの歯車として働き続けるよりは、一度一人で事業をやってみるのもいいかなと考え2年前に退職し独立することにしたんです。

最初は、個人事業主として完全歩合制で様々な業種の企業様に対して営業コンサルティングを行なっていたのですが、沢山の経営者の方々とお話をするなかで段々と経営者視点を持てるようになってきたのに気づきました。

いまクライアントが困っているこの課題はあれが原因だったんだなと、点と点が繋がるように全体を良くするために何をすべきか少しずつ見えてくるようになった。そんな時にネットでバトンズを知り、M&Aという手法で起業できるということも初めて学びました。すぐにバトンズで案件を探しはじめ、一番に目に飛び込んできたのが今回譲受させていただいた香料メーカーだったんです。

 

――会社経営に興味を持ち始めたタイミングで直ぐに対象会社を見つけられたんですね。

元勤務していたインキメーカーは匂いを楽しめるインキ製品も取り扱っており、香料に関する知見は多少ありました。香料メーカーの前オーナーをバトンズで見つけた時に「インキに混ぜられる香料はありますか?」とメッセージを送ったのを覚えています。前オーナーから「そういったものもできますよ」と返信をいただいたので、これは香料に特化した市場開拓ができるのではないかなと感じました。

香料を使った印刷製品はまだまだ印刷業界では成長の余地があるというか、珍しいので差別化しやすい商品開発ができるだろうと非常に魅力を感じました。

 

――ご自身の経験と掛け合わせられる“何か”が見つかると、M&Aの相乗効果もより期待できますよね。

M&Aを行ったとしても、既にニーズがあるところに従来と変わらないビジネスで飛び込んでしまっては競合が沢山いることに変わりはありませんからM&Aの効果も限界があると思うんです。自分がいた印刷業界で何か新しい価値観を生み出すためには、違う業界の視点を吸収したいと常々考えていました。

M&A案件を探していた頃は、とにかく買収後に競争相手が極力いない状態にすることを重視していました。結果的に僕の印刷業界での経験やノウハウと、今回バトンズで見つけた会社が扱う“香料”が掛け合わされることで、若い人や子どもにも楽しんでもらえる面白い商品ができるんじゃないかなと思ったのが買収の決め手です。

先代社長が築いてきた歴史を大切にしたい、と継ぐ意思を申し出た

――面談はどういった感じで行われましたか?売り手社長の印象はいかがでしたか?

やっぱり最初はお互いに探り探りという感じでした。売り手担当アドバイザーさんがいたので、僕が興味を示させていただいてからはからは、ある程度のことはアドバイザーを通して事前に前オーナーに伝えていただいていました。

 

――売り手社長は多数の買い手からオファーをいただいていたそうですね。

そうなんです。僕は交渉当時は全く知らなかったんですが、結構な数の問い合わせを受けていたそうです。M&A後に結構な倍率だったと教えていただきました。

 

――選ばれるためにどうやって信頼関係を築いていったのですか?

僕は譲渡前の事業の数字のことや従業員をどうするか、今までの環境を変えるべきか、といったことを面談の場では一切話しませんでした。もちろん、後々改善をしていかなきゃいけないとは思いますけれど、今までと同じ形で進めていけるように頑張りたいですと前オーナーにはお話していました。

新しいニーズ作りをして売上を上げることが僕のミッションだと考えているので、売上と利益を会社にもたらしてから全体を改善していったほうがいいと考えていました。

 

――過去を忘れない谷口様の姿勢が前オーナーの心に刺さったのですね。

バトンズ掲載中は大きな法人まで色々な買い手さんから打診があったようです。そうした買い手さんはまず具体策として人件費や経費の削減から入ります。僕もそれは当然だとは思っています。しかし、今まで経営してきた社長からすると、あんまりつついて欲しくない部分でもあると思うんです。その感覚は僕にも分かったので、提案するときは上から目線にならないよう意識し、否定せず肯定から入るようにしました。

たとえ債務超過だったとしても、前オーナーと色々とお話しする中でこれまでの会社の歴史が面白いと思ったから買収したい意欲が湧きました。前オーナーがどういう道を歩んできて老舗といわれる会社を築いてきたのか、その背景が面白いなと思ったんです。そういった過去を忘れずにこれから僕は何ができるのかを時間かけてお話ししていったのが良かったのかなと思います。

M&A後は社内体制を大きく変えず、商品企画に集中

――コロナの影響でM&Aを躊躇されるようなことはなかったですか?

コロナの影響を心配することは全くなかったですね。むしろ、「こういう時だからこそチャンスだ、何か新しい事をしなければならない」という気持ちのほうが強かったです。

 

―M&A後は何から始めたのですか? 

落ち着いてからは金融機関に一緒にご挨拶に行き、その他手続き業務を行っています。今までのルーティンは基本的に残して、前オーナーには相談役として社内に残ってもらっているんです。僕は新しいニーズを開拓していくため商品企画を中心に行っています。

実は家が近かったということもあり契約前から毎週のように前オーナーのもとに通っていまして、その時から今後について話しあっていました。M&A前からすでに動いているプロジェクトもあるんです。

 

――技術的な部分はどうやって引き継がれるご予定ですか?

そこは今までのツテがあるので技術専門の人材を採用しようとしています。

一番大事な部分ではあるんですが、僕が技術的なところまで全てやろうとしたらとんでもない時間がかかってしまう上に、新しいことを出来なくなってしまいますから。

香料を扱うし力仕事があるわけでもないので、僕は女性の技術者がいいのではないかなと考えているんです。匂いのある商品は圧倒的に男性より女性の消費率が高いですし、日常でもより敏感に匂いを感じとっているのは女性だと思うんです。そこは女性ならではのセンスが光る分野かなと考えています。

歴史ある会社を未来に残していくため今後もM&Aを検討

――最後に今後の展望を教えていただけますか?

前オーナーから昔はこうだったと会社の歴史や技術について色々と楽しいお話を聞いていると、ちょっとした歯車の食い違いで少しずつ経営が傾いてきてしまった現状を何とか変えてあげたいと思ってしまうんです。あと3年続けてダメだったらもう会社を畳もうと考えていたそうですが、お客さんがいて歴史もある会社の最後がそれでは非常に勿体ないと思います。存続させるために何か僕にできることがあるんじゃないかと考えています。

実はMA後、以前からお付き合いのあるお取引先が大変興味を示してくれまして、新たなお仕事のきっかけも生まれています。

もう挑戦するのみですね。高齢の社長がなかなか引退できずに最後は債務超過で終わってしまう前に、僕がそれを救うとまでは言いませんが、そのためのチャレンジを金融機関さんの力も借りながら行っていけたらなと思います。

実は今後もM&Aを行う予定で、引き続きバトンズを活用しています。今回初めてMAを行ってみて、異業種の掛け合わせによるシナジー効果はあらゆる分野で期待できることが分かりました。それに印刷業界もまだまだ裾野が広いんだなと改めて実感しています。

どうやったら印刷業界で生き残っていけるのか、印刷商品をどのようにブランディングしていくのか、その仕組みづくりをこれから追求したいです。

 

――ありがとうございました。

 

 

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