レポート

2019.01.18

良いM&Aは"Give and Give"の精神で生まれる!マネーコンシェルジュ税理士法人代表、今村先生との対談

バトンズ(Batonz)代表の大山によるインタビュー特集。第1回目は、昨年度、バトンズの成約件数最多という実績を残され、最優秀アドバイザー賞を受賞されたビジネスサクセション株式会社/マネーコンシェルジュ税理士法人代表、今村仁さんとの対談です。

大山:今回はあとつぎ日記のインタビュー特集の第1回目ということで、今村先生にお越しいただきました。宜しくお願いします。まずは今村先生のご経歴を簡単に教えていただけますか。

今村:もともと、消費税がはじまった中学生の頃、税に関する作文を書いてコンテストで佳作を受賞したのがきっかけで、税理士を志すようになりました。大学を卒業後は、独立する前に経験をしたほうがいいと思い会計事務所に就職し、製造業のメーカーの経理を担当していました。会計事務所を2社経験し、それから2003年に大阪で独立して15年程になります。

大山:そうだったんですね。バトンズ(Batonz)をはじめられたきっかけとは何だったのでしょう?

今村:会計事務所にいた頃からデューデリジェンスを行っていて、独立して以降も企業組織再編のために会社分割や再生案件に携わっていました。M&Aには前から興味があったのですが、10年ほど前に大阪で大山さんの講演をお聴きして、M&Aコンサルティングを行ってみたいと強く思いました。

大山:ありがとうございます。今村先生は昨年の成約数No.1となられましたね。バトンズ(Batonz)でこれまで合計で何件仲介をされたのでしょうか。また、先生がマッチング先を見つけるうえで、大切にされていることについて教えてください。

今村:これまでに、20件弱の案件の成約までを担当しました。最初の案件は3年前の2016年末だったと思います。いいマッチングをするためには、やはり業界研究って大事だなと思います。同業同士のマッチングでもどちらが川上にいるのか、川下にいるのかなど。小売り業の案件であれば、売り手さんの業種の膨大な商品点数について知っていなければ、最適な買い手さんをマッチングすることはできません。

買い手さんもそれなりに売り手さんの業界や業種を知っていて、ある程度の下地がある人たちですから、仲介を行う私自身も研究しておかないといけない。そういう意味では、インターネット(バトンズ)を使っているからこそ、マッチングの幅が拡大したと思います。

大山:なるほど。インターネットで可能性が広まったことで、ミスマッチングもベストマッチングも起こりやすくなったと思います。これはやらないほうがいいというミスマッチングは経験されましたか?

今村:そうですね。最近の傾向ですが、会社を買って起業するということを安易に実行しようとされる買い手さんに出会うことがあります。預金200万円のサラリーマンの方が起業相談に来られた時は、なぜM&A起業したいのかをよくよく聞いてみると、単純に会社の不平不満を述べる。その方には、「もう2~3年、頑張って仕事したほうがいい、そのような状況でM&A起業をするとより大変なことになる」とアドバイスしました。やはり、ある程度は周囲を納得させられる雰囲気も必要なのではないでしょうか。

しかし、単純にゼロから起業とは異なり、M&Aであればスクラップ・アンド・ビルドしながら、良い意味での中古を買うという発想が可能になります。しかしだからこそ、買い手は慎重に考えることも必要だと思いますね。

よいM&Aはお互いへの尊敬なしで成り立たない

大山:確かに、現在のブームに乗ってM&A起業に取り組まれる買い手もいるかもしれませんね。よいM&Aをするために注力すべきポイントはどのように考えられていますか?

今村:端的に言うと質問の仕方だと思います。当たり前に売り手に対して尊敬の念を置いたり、一目置いたりすることで、最初にかける言葉は自ずと違ってくるはずです。買い手は数字も数字以外の部分も、様々なリスクを検証しないといけないと思いますが、やはり、一番は売り手の気持ちを汲んでいただくということに尽きるかと。売り手さんの取引先との付き合いを大切にしない等、配慮が欠けてしまうとよいマッチングは生まれません。

大山:物の売り買いみたいに考えたら一巻の終わりですし、相手の尊厳を守るとういことも考えないとはいけないですよね。

今村:M&Aというとロジックがすべてで、give and takeというイメージがありますが、実際に小さな会社を買おうとすると、最初はgive and giveくらいの気持ちが必要だと私は思います。論理だけでは片づけられない感情の話がいっぱいあるんです。

大山::お互いの感情を汲みながらマッチングするのはとてもデリケートな作業ですよね。先生はうまく両者の関係を取り持つためにどのような関わり方をされるのでしょうか。

今村:僕は、相手の性格とか家族構成をとにかく質問して、その人のことについてのあらゆることをメモします。特に、買い手の場合はあまり情報を開示したがらないことが多いため、説得して情報のやり取りを求めたりもしますね。

大山:人間、300万円以上の買い物は一人で決断できないともいわれていますよね。売り手も買い手も成約前の最後の交渉ではお互いに不安になってきますから、知識以外のマインドのすり合わせのために、M&Aアドバイザーはセカンドオピニオンのような役割も求められているのかもしれませんね。では、先生がいままでに行われた案件の中で、これは良い組み合わせだったというものはありますか?

今村:失敗も踏まえての話になりますが、塗装業で社員数5人程の会社の社長であるお父様が危篤状態という売り手さんがいました。買い手さんは出てきたのですが、当時で70歳という高齢。体力的に最後までやり切れるかなと思ったのですが、M&Aを開始し成約されてから一カ月後、やはり、体がしんどいという理由で買い戻すことになったんです。

まずい状況だったのですが、そんな折、長野から東京に進出したいという塗装業の買い手さんが見つかったんです。幸い、買い手の社長は経営を仕組化できていて、関東に事業を広げたいという想いがあったため、無事M&Aすることが出来ました。なにせ、一回売れたのにまた戻されてしまっていたので、売り手の従業員が安心できてよかったと思います。

大山:成約後の買い戻しを経験されたうえでのマッチングだったんですね。確かに、従業員が喜ぶかはひとつの重要なバロメーターですね。先生の目でご覧になって、M&Aを多く成約している人は何が違うのでしょう。

今村:そうですね。僕がいいなと思うのは、中小企業の親父社長としっかりと向き合って会話できる素質があることだと思います。売り手と買い手の懐に入っていける人、相手が過去のことを話しだしてくれるような人には素質があるのではないでしょうか。あとは、経営者の家族、例えば奥さんがどのくらい経営に入り込んでいるのかなども理解して対応できることも重要だと思います。

大山:あらゆるステークホルダーのタイミングを見極める力は大事ですね。もともと、M&Aは時間を買うと言われたりしますが、我々が行なっているような小規模M&Aの場合は違う気もしているんです。残すべきものを残すためにやっているような感じでしょうか。

今村:そうです。事業を残すという観点でやっている仕事ですよね。何回か訪問先に通っていると、その人たちの生活が見えてくるものです。そういう状況を理解したうえで成約できると、やりがいを感じられます。

大山:先生のお話を聞いていると、人と人の関わりをとても大切にされている感じがします。M&Aを行う会計士や税理士というと、冷たいイメージを持たれることもありますが、本来は違うんですよね。お互いの人間と向き合いながら、全体をつなぐ役目なのだなと改めて思います。

バトンズ(Batonz)が目指すものとは

今村:今年の10月にアンドビズからバトンズ(Batonz)というサービス名に変わり、リニューアルしましたが、リニューアルにはどういう目的があったのでしょうか。

大山:リニューアル前のアンドビスには、都会のビジネス的な印象が強かったこともあり、中小企業の経営者にとっては受け入れ難いのではと感じていました。そこで、敷居を低くして、もっと親しみを感じてもらうことが大切だと思い、泥臭く、あたたかい印象で展開していこうと決めたのです。誰にでもわかるよう、親しみを感じられるサイトにするために目指すサイトの機能自体はまだ発展途中です。マッチングの前のユーザー同士のコミュニケーションがこれまでなかったため、ちょうど今年1月のリニューアルでは、専用のチャットツールの提供をはじめたところなんです。

今村:より気軽に売りたい相手と買いたい相手がコミュニケーションできるようになったんですね。

大山:我々の原則は「安心安全」。入り口はなるべく低く、しかし、絶対にトラブルを起こさないサービスであることが前提です。マッチングまでは、ユーザーにこのチャットツールを活用してもらって自由にお相手を探していただけます。そのために、掲載情報は反社チェックを行った会社であることを徹底。マッチング先が見つかったら、その後は地域の専門家に仲介に入ってもらうようにしています。

しかし、地域によっては専門家がいない場合もあります。例えば、先日提携した高知県には専門家がまったくいないため、我々が地域の士業の方にM&A仲介できるように研修を行い、彼らにM&A仲介を担っていただいています。

今村:なるほど。しかし、御社のアドバイザーが出向いて、売り手を発掘するという風にしていかないのはなぜでしょう?

大山:当社のアドバイザーが担当するよりも、高知県という場所の特色や良さを理解した専門家に活躍していただかなければ、物事のすべてが東京で行われてしまいます。そうならないように、生活の良さ、人の好さ、物価の良さを知る地元の彼らにM&A仲介を担ってもらうことで、地域おこしに貢献したいと考えているんです。バトンズ(Batonz)で我々が支援しつつ、地元にいるアドバイザーに現場で活躍してもらうことが、自治体と提携する目的です。

小規模M&Aの意義について

大山:先生は、中小企業のM&Aもご覧になっているし、もっと小規模のM&Aを行うバトンズの世界も知っておられます。今後、バトンズの世界はどうなっていくと思いますか?

今村:結局、我々がやっていることは日本再生だと考えます。中小企業が全体の7割である日本経済を良くしようと思ったら、活性化していかなければいけない。M&Aのいいところは、売ったり買ったりして終わりではなく、3年経営した後、また次の人に事業を引き継いでも良いわけです。

都会での悩みや、お子さんの成長、親の介護、自身のリタイア後のキャリア等、長寿化社会において、段階に応じていろんな生き方ができます。そういう意味でも、大山さんがおっしゃったように、東京・大阪中心ではない形で事業承継が広がっていけばいいなと私も思います。

もう一つは、東南アジアなどが買い手として出てきていることでしょうか。それについて規制はないし、規制することがいいとも思っていませんが。バトンズ(Batonz)に全国の掘り起こしをしてもらえれば、マッチングが活性化します。もちろん、そのうえで東南アジアなどの海外の買い手がマッチング先としていてもいいわけなので、そこで僕がお役立ちできればと思います。

大山:全国的な展開だけでなく、世界も見据えられているのですね。今日はどうも、ありがとうございました。

プロフィール
ビジネスサクセション株式会社/マネーコンシェルジュ税理士法人
〒107-0052 東京都港区赤坂8-13-19 インペリアル赤坂1番館512号
〒530-0054 大阪府大阪市北区南森町2-1-29 三井住友銀行南森町ビル3F
Tel 03-6455-4275 Fax 03-6455-4276 E-mail : imamura@business-s.jp
https://www.money-c.com/pdf/BScatalog.pdf

代表 今村仁 税理士・宅地建物取引士・CFP
会計事務所を2社経験後、ソニー株式会社に勤務。その後2003年独立、2007年マ
ネーコンシェルジュ税理士法人に改組、代表社員に就任。ビジネスサクセション
株式会社、代表取締役社長。
著書に「その気にさせる事業承継 得すること・損すること」等があり、その他、
専門誌・一般紙に執筆多数。商工会議所や金融機関などセミナー実績多数。NHK
テレビやラジオにも出演。

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